専務の書評その十三 1月15日 「完全リサイクル型住宅(1)」

今回は、「完全リサイクル型住宅―未来開拓学術研究推進事業として 木造編 」です。最近は、省エネとかエコが流行になっているので、すこし古い本ですが、読んでみました。

実験で、完全リサイクルできる住宅を建築するというものです。今回は主に、建築にかかる部分でしたが、読んでみて思ったのは、なかなか簡単にいかないものだなあということでした。

例えば、構造は、リサイクルを考えると、基礎はコンクリートは使わず、土台となる石に束を立てるというものです。また、筋交いを使わず、貫を用いるというものでした。今の通常の木造住宅の構造とは異なります。

また、全体のCO2を減らすために、あまった材木は、燃やして、燃料にしたり、ゴミは堆肥にしたり、敷地内に林を設けて、その木を、 次に建築する際に用いるなど、建てるだけではなく、建てた後、取壊しを見据えて、全体で、リサイクルをしていく計画で、住宅を建てるだけというものではあ りませんでした。

日本に家は、夏を旨とすべしとありますが、これは、日本の夏が蒸し暑いからという理由だけではなくて、実は、構造体が空気に触れやすくしたほうがよいという意味もあるそうです。

リサイクルを考えると、昔の日本の家は、理にかなっているようです。ただ、基礎と土台を緊結せず、金物も用いないとなると、分解の観点からは、よいのでしょうが、いまの建築基準法の考えとは、異なるようです。

住宅を建てるには、いろいろな考えがありますが、すべてを満たそうと思うと、簡単にはいかなそうです。リサイクルを考えると、構造は、分解しないといけないですが、耐震の観点から、つっこんで考えないといけなくなります。

こういう実験は、そういうことを考えるにも参考になりました。木造一戸建てを建てる身としては、なるべく長く使って頂くということになりそうです。木造住宅の寿命は、物理的な寿命というよりは、社会的な寿命(間取りが合わないなど)が多いそうです。